不動産投資の主流は賃貸オーナーであることはすでに解説しました。賃貸オーナーは、2つの特徴を理解しておかねばなりません。1つは、投資額が大きいこと。そしてもう1つは、投資額の回収に長い時間を要することです。
不動産投資で失敗しないためには、この2つの特徴の理解と不動産投資の基礎知識・情報・計画が必要です。不労収入とはいえ、収入を得るわけですからプロフェッショナルにならないと成功は難しいかもしれません。
ここでは、賃貸オーナーとして必要な基礎知識を解説します。不動産投資の入り口になりますので、しっかり理解しておくと良いでしょう。
基本的な不動産投資の知識
不動産投資の基本的な知識は2つに分かれます。「経営関連の知識」と「不動産関連の知識」です。
経営関連の知識は汎用性が高く、事業計画や経営計画・納税対策などで役立ちます。不動産関連の知識は専門性が高く、知識を高まることで、安全で安心できる不動産を見極める目を養えるでしょう。
不動産の知識
不動産は、法律や都道府県条例などで多くの規制を受けています。投資後に計画通りに事業運営ができないとなると大きな痛手となり、大きな損害を被る可能性もおおきくなるでしょう。
そのようなことにならないように、投資前に4つの知識を得て確認することが大事です。
・不動産調査関連の知識
・不動産取引の知識
・不動産規制の知識
・不動産に関わる税金の知識
この4つの知識を駆使して対象不動産を確認してリスクを軽減しましょう。
不動産調査の知識
不動産の調査には定量調査と定性調査の2種類があります。定量調査は、広告や登記・価格などを資料に基づき調査します。定性調査とは、現地で対象物件を調査することです。
不動産調査の中で最も大切なのが価格です。価格は需要と供給や社会情勢・経済動向などに左右されます。しかし、自信をもって投資するためには、賃貸オーナー自ら適正価格を確認できる方が良いでしょう。価格を知るには、3つの方法を併用して導き出すのが一般的です。
・原価法
原価法は、原価を積み上げて価格を求める方法です。対象不動産と同じ建物を建てる場合いくらかかるのかという視点から不動産の査定し評価を導き出します。
戸建住宅を例にとると、まず、対象不動産と同じ住宅を同じ土地に建てた場合の費用を算出します。これが再調達原価です。そして、経年で古くなった分を再調達価額から減価修正し対象不動産の評価を決定します。
原価法は、建物や建物付きの土地に対して採用される場合が多い査定方法です。土地のみの場合は、再調達原価が土地の取得費用のみとなりますので適していないといえるでしょう。しかし、造成地や埋立地の場合は、取得費以外の費用が生じて原価が上積みされますので、採用されるケースがあります。
・取引事例比較法
取引事例比較法とは、類似の事例と比較して価格を求める方法です。多数の取引事例を集めてその中から適切な事例を選択し、その取引価格をもとに査定し評価します。査定では、さまざまな要因を比較考量し価格を修正する必要があり、主な修正は以下の3つです。
・事情修正:対象不動産に影響した要因を取り除いて修正
・時点修正:タイムラグを考慮し、価格水準の変動についての影響も修正
・地域要因の比較:地域特性による価格への影響や不動産の個別格差を比較して修正
類似の事例と比較して価格を求め、上記のような要因による修正を加えて評価された価格を比重価格といいます。取引事例比較法は、どのような不動産の種類でも応用が効く方法ですので、併用の1つに採用されるケースが多いのも特徴です。
・収益還元法
収益還元法は、将来生み出す収益を基に価格を算出する方法です。賃貸不動産などの投資用財産や事業用不動産を査定し評価する場合に有効な手段です。居住用財産であっても、賃貸住宅にすることを想定すれば適用は難しくありません。収益還元法には、直接還元法とディスカウンテッド・キャッシュフロー法の2種類があり後者はDFC法と略されることが多いです。
・直接還元法
対象不動産から得られる1期間の純利益を還元利回りで割り戻して、収益価格を直接求める方法。
・DFC法
対象不動産が生み出すと期待される純利益と、期間満了後に対象不動産を売却して得られる予想価格を現在の水準で算出したものを合算し、収益価格を求める方法
これから投資用財産を求めるならDFC法が主流となっていますが、売却の場合はすでに1期間の純利益が判っていますので直接還元法が主流となっています。
・不動産取引の知識
不動産取引の知識とは、不動産に関する法律の知識と言っても過言ではありません。不動産取引は、多種多様な法律を守らなければ成立しないからです。
その法律や制度の中でも賃貸オーナーとして憶えておきたいのが、「瑕疵担保責任」と「借地借家法」です。
瑕疵担保責任とは、投資物件として購入したが、雨漏りや目に目ない欠陥があった場合などに適用されます。売り手が、原則として100%責任を持つ必要があるので、もし、瑕疵を見つけたらすぐに売手に補修を要求しましょう。
借地借家法は、借主を保護することが目的で制定されているので、賃貸オーナーにとっては不利な法律となります。事例としては、退去を求める場合に、相当の費用と正当な事由が必要とされるなどです。
法律は、時代の流れの中で変わるものです。2020年4月には民法が大幅に改正されています。賃貸オーナーは、不動産に関する法律の知識もしっかり把握しておきましょう。
不動産に関わる規制
不動産に関わる規制は多岐にわたっていて、規制の基は法律です。すべてを網羅することは難しいので、賃貸オーナーにとって必要な法律がどのようなものであるかを列挙します。
1,不動産の売買や賃貸借などの契約に関する法律
民法・宅地建物取引業法・借地借家法・消費者契約法
2,権利に関する法律
民法・区分所有法・借地借家法・マンションの建替え等の円滑化に関する法律
3,土地の利用に関する法律
都市計画法・国土利用計画法
4,建物の建築に関する法律
建築基準法・長期優良住宅の普及の促進に関する法律・都市の低炭素化の促進に関する法律
5,不動産登記に関する法律
不動産登記法
6,マンション管理に関する法律
区分所有法・マンションの管理の適正化の推進に関する法律
7,住宅の瑕疵関する法律
民法・宅地建物取引業法・住宅の品質確保の促進等に関する法律・特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律
8,空き家に関する法律
空き家等対策の推進に関する特別措置法
重複する法律がありますが、賃貸オーナーとして重要な法律だということです。不動産会社が一目をおく程度まで理解しておけば、有利に交渉を進めることができる可能性が上がります。
不動産に関わる税金
不動産に関わる税金は、多種多様にあります。取得・保有・譲渡に分けていると理解しやすいので分けて記載します。
・取得に関わる税金
所得税(減税対象となる場合があります)
住民税(同上)
登録免許税
不動産取得税
贈与税(不動産贈与を受けた場合)
相続税(不動産を相続した場合)
印紙税
固定資産税・都市計画税
消費税
・保有に関する税金
消費税(賃貸収入がある場合)
住民税(賃貸収入がある場合)
固定資産税・都市計画税
消費税
・譲渡に関する税金
所得税(売却益がある場合)
住民税(同上)
印紙税
消費税
賃貸オーナーになるためには、取得に関する税金と保有に関する税金をしっかりと把握しておくと良いでしょう。
Part3:不動産経営の知識も必要へつづく

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